第 二 部 各論 第 二 章 キャンパスツアー

見学者の方々をご案内したキャンパス・ツアーの順序に従って、建物、施設をざっとご紹介し、その後、それぞれについて個別に触れていきたい。

 
簡素な第一の門を入ると、行く手に見える正門まで長さ八十メートルの砂利道に七列の大谷石の踏み石を置いた玄関道がのびている。両側は、屋根のある板塀で、正門の奥に、右から左へかけて大講堂、管理棟から多目的ホール、武道場にかけての甍の波を望む。正門は三階建ての建物である。正門、中央に入り口のアーチがあり、その両側には生徒会がのちに使っていた部屋、二、三階は教室になっている。

アーチをくぐると、明るく開けた広場に入る。右手には大講堂と付属の小音楽堂、左手には管理棟とホーム・ルーム通りがある。池越しに芝生の斜面の上に赤い屋根のカフェテリアを望む。この広場は、砂利敷で、キャンパスの建物群の中央にあり、ここからぞれぞれの建物へ向かう。三方を建物で囲われているが、正面は池とその奥のカフェテリアまで開けているので、明るい開放的な空間だ。

太鼓橋で池を渡ってハナミズキの小道を登りカフェテリア、ここの二階からはキャンパスの全貌を見下ろせる。池に沿ってゆるい下りで体育館。大口径の柱と梁が露わしになっている木造特有のユニークな大空間と内部二階の付属小体育館を見て、列柱の並ぶ回廊を通り多目的ホールの内部へ入る。両方向が開放されている吹き抜けの空間である。続いてホーム・ルーム通りで外階段を上って入る教室棟のユニークな内部を紹介する。

その後、管理棟を見て路地に面する玄関から教員室棟に入る。玄関のすぐ前が校長室、右手が教員ラウンジ、左手には庭に面した縁側がのびそれに沿って三部屋の教員室が並ぶ。玄関に戻り、路地を通って美術室、特別教室の内部を見てから、キャンパス北西の一角を占める武道場に向かう。ここからは、教員室前の庭の中を抜ける小道をたどり、板塀の小さな入口から玄関道へ戻る。

広場から大講堂へ入ると、躍動感にあふれる手仕事による漆喰の内装で埋めつくされている大空間が広がる。舞台袖からの通路を通って、楽屋も兼ねる小音楽堂でキャンパス・ツアーを終える。
大講堂をツアーの最後においたのは、三基の大シャンデリアを持つ明るい長方形のクラシックな空間に、手仕事の黒漆喰の列柱、それに活き活きとした赤と黒の強烈な内装という組見合わせは、フィナーレにふさわしいと考えたからである。ツアーの最初に案内することで、後の施設見学の印象が弱くなるのでは困る。

(1)アプローチとしての玄関道
(2)キャンパスの要である広場
(3)
(4)カフェテリア
(5)体育館
(6)木製のサッシュと教室棟屋根の小組み
(7)多目的ホール
(8)独立した教室でプライバシー確保
(9)管理棟
(10)平屋の教員室棟
(11)体育館ではない武道場
(12)大講堂
(13)小音楽堂
(14)砂漠を避けたい(屋外運動施設)

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