第 四 章(2)新校地の取得と武蔵野校地の売却

9月に入って、二本木の地主との交渉がまとまった。第一勧銀狭山ヶ丘支店で、協和不動産三浦社長が立会い、32名の地主に代金が支払われた。これで正式に、敷地が学園の所有になった。売却に先立って新校地を取得するとの評議員会での約束は実行されたのである。
続いて、三菱信託は、武蔵野校地を売却する手続きに入る。丸の内の三菱信託本店で行われた入札に、長谷川工務店など三社が参加、二番目を10億円引き離して、長谷川工務店が42億円で落札した。連絡を受け、12月上旬に、三菱信託本店で長谷川工務店と契約書を交わすことになる。

11月の評議員会は大荒れになった。新校地は取得しているし、評議員会との約束通りその後に武蔵野校地を売却したので文句のつけようがない。次々と発言を求めて理事会を非難したが、それ以上のことはできなかった。沖田は理事会でこの売却は認められないと発言したが、正規の手順を正式に踏んでいる以上、彼の発言では事態は何も変わらない。理事会は予定に従って、粛々と長谷川工務店と契約書を交わすことを確認した。

契約当日の朝、保谷市の自宅の玄関先で、かかってきた電話を受けた直後、鈴木理事長は異常な行動を取る。事情があって、三菱信託本店には行けないと言うのである。今更変更は出来ないと説得したが、「行けない。」と繰り返すだけで、委任状を書くから契約してきてほしいと、その場で委任状に署名した。やむを得ず、本店に向かい、長谷川工務店の代表とともに1 時間待ったが、勿論理事長は来ない。委任状があれば法的には問題ないとの弁護士の説明があり、長谷川工務店の代表との間で正式に契約書を交わした。
鈴木理事長は、その後1週間、行方不明になった。自宅にはいないし、連絡も来ないのである。学園に戻ってきても、当日の朝の事情については一切話そうとせず、「いずれ時が来れば、話す。」というだけであった。
玄関で受けた電話で、契約の席に出かけないよう何らかの脅迫をされたのだろう。設計作業とは無関係だし、アレグザンダーを巻き込むべきではないと判断し、彼には、妨害活動については一切知らせなかった。

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