大きな課題として残っていたのが、大講堂の建具の図面である。開校の年の一月に入って次々と図面が工事事務所に届けられたが、工事の速度に間に合わないというので、所長は緊急に五、六名ほどの設計スタッフを図面作成のために、現場下の設計事務所に派遣した。ギリギリで、大講堂の建具は完成する。二、三月は、建具の製作、取り付けに追われたがなんとか間に合った。大工事である漆喰の内装は全て翌年に持ち越されたので、大講堂はほぼ完成した。
建設工事委員会での難題、現場での難工事は解決しており、峠は越えたのである。後は、各施設の最終仕上げとカフェテラスの前庭の外工事である。いずれも急ピッチで進み三月末、契約どおり、キャンパスの引き渡しが無事終了した。
二百三十項目の図面の指示通りでなかった工事の項目があるが、これらはすべて完成後の学園とフジタの協議に任された。実際に半年かかったが、手直し工事、手直しが難しい工事については、代償として玄関道に面してメンテナンス用の平屋の建物を建てるということで、開校の年の十一月に、すべて決着している。
約束の地に新キャンパスが完成したのである。