資料 パターンランゲージ第三次原案

1. 全体的特徴

    1. 石の土台塀、木の柱、白い壁、2,3箇所特別なところに朱色の漆材、深々とひさしをのばす屋根、濃い地味な屋根の色、地面の石や草が建物や敷地を特徴づけている。
    2. まず敷地を囲む外塀がある。
    3. 外塀の内側に、全敷地の約五分の一にあたる小さな面積を囲む内塀がある。
    4. 内塀の内側の領域を「内境内」と呼ぶ。ここは、学校の主要な建物が建つ密度の高い領域である。
    5. 内塀と外塀の間は「外境内」であり、庭園や運動場、そして種々の独立して建つ外建築がある。

    2. 内境内

    1. 内境内への入り口は、外境界で始まる。外境界の重要なポイントに正門がある。
    2. この第一の門、は建築物である。
    3. 第一の門より内境内に向けて玄関道がある。玄関道の両側に壁か樹木が並び、非常に静かである。
    4. 玄関道路が内境内と出会うところに第二のより大きな門がある。これが、メイン・ゲート「正門」である。
    5. 正門の内側には中央広場がある。この広場は大講堂とともに構成され、その講堂の正面は庭に向かっている。
    6. 中央広場の先、そして第三の門を通り抜けると,ホーム・ルーム通りがある。ホーム・ルーム通りは幅広く、活気のある、陽のあたる通り、個々のホーム・ルーム教室建物群によって構成される。
    7. ホーム・ルーム通りの先に、第四の門を通り抜けると、学校の最も大切な中心がある。この大切な中心は、前にも述べてきたように幾重もの層を通り抜けて到達できる場所である。そしてそれ自体にも更に重なり合いがあり、それ以上の静けさがそこにある。
    8. この最も大切な中心は、かなり大きくて、それ自体一つの世界を形勢している。内境内の内部にあって、小道や門で区切られ、この中心は学校の大部分を構成している。
    9. 最も大切な中心は唯一のものであり同時に心臓部である。2つの道が交差する十字型に近い形となる。漢字の“田”の字に似ているので、それを我々は“田の字センター”と名付ける。
    10. “田の字センター”を形成する通りと小径の交差する地点に小さい中心がある。
    11. そして、“田の字センター”の先端は、一段高いところで、又最も平和な場所になっている。静かに瞑想したくなる場所である。
    12. 又、“田の字センター“より直接に枝別れしているのは、ホーム・ルーム通りである。ホーム・ルーム通りは、高校生のクラスのある個々のホーム・ルーム教室群によって構成されている広くて活気のある陽のあたる通りである。
    13. “田の字センター”の向かいの門を通り抜けた所に芝生がある。この芝生は、まっすぐ池に至る。
    14. この池は、平和な場所である。

    3. 内境内の建物

    1. 中央広場の主要な建物は、大講堂である。講堂は細長く600人着席でき、小部屋と廊下で囲まれているので、重要な集会のために1200名全員着席できる。
    2. 中央広場にある小さな建物は、盈進博物館である。小さな建物で、学校と教育方針を訪問者に説明している。この広場を取り囲む小さな建物が他にもある。
    3. ホーム・ルーム通りを形づくる建物は、個々のホーム・ルーム教室建物群である。この建物の各々は、2階建てで、各階にひと教室ずつあり、2階の教室からは直接地面に出られるように階段がついている。
    4. ホーム・ルーム通りに向かって、大体育館が、主要な中心を構成するように位置づけられている.状況次第では、この主要な中心部は、外境内に動かされることもあるだろう。
    5. ホーム・ルーム通りの第二の中心は職員室であり、どこかの通りの真ん中近くに位置し、すべてのホーム・ルーム教室に出来るだけたやすく行けるようにしてある。

    4. 内境内の通り

    1. 中央広場は表面に砂利が敷いてあり、小径が通っている。その特徴は打ち解けた感じで静かである。
    2. ホーム・ルーム通りは、田の字センターのどの道や通りより広くとってある。真ん中に樹木が植えられ路の両側に一段高いテラスが続き、両側に建物が建っている。これらの建物は色とりどりでのびのびしている。
    3. 湖の水辺へ続く芝生は、くつろがせるし、心地よく打ち解けた感じである。ここは学生が草の上に寝ころがり討論できる場所である。
    4. 内境内の内部に、そして特に田の字センターやホーム・ルーム通り内には、沢山のアーケード―屋根と壁あるいは屋根と柱の構造がある-雨天でも人々はその下を歩くことができる。
    5. さらに敷地の高低に従って、沢山の微妙な段差がある。
    6. 可能なら、ホーム。ルーム通りは、高校の三学年と対応するように幾分段を違えた三つの地帯を設ける。
      この特別なテラスに向かっているのは、高校の食堂である。そこは高校生が集まり昼食を食べる。
    7. 内境内には、建物と建物や、庭と庭を結びつけるところなどは、押し付けがましくなく、しかしながら,つつましくしゃれていて、独特な形をしている。

    5. 外境内

    1. 内境内を囲む塀は、建物や通路や地形に沿って不規則に曲がっている。ちょうど日本の大きなお城の内塀のようなものである。
    2. この不規則な内塀の外部は外境内である。そこには、交互に、運動場や庭や重要な外建築物が並ぶように構成されている。
    3. 運動場、庭、外建築物が、交互に配置されているのは、その一つ一つが区別されていてそれ自体で完結したものとなっていないようにするためである。
    4. つまり一つ一つの運動場は、それ自体で独立しており、他の運動場と隣接するようなことはない。その代わり、生垣や壁によって囲まれていたり、その横に立つ独立した建物で区切られていたり、いろいろな方法で囲まれ区別されている。
    5. 更に運動場は、全部何かの建物に付属しているように設置する。その建物は、特にそのスポーツに関係があるわけではない。例えば、テニス・コートは、美術の工作室に並んでいるかもしれない。だから、工作室に入ろうとする人々は,そこでテニスの試合を大いに楽しんで観戦できる。
    6. 各運動場、庭、外建築物などの交互の配置を繋いでいるものは、次のようなものがあげられる。
    7. 学生が栽培する果樹
    8. サッカー場もある。
    9. 学生が物を造るときに使用できるような道具や設備の整のっている大工作室。
    10. テニス・コート二面。草地の上が好ましい。
    11. 音楽スタジオ、大講堂裏手の方に置かれているから、音楽愛好家たちが練習や演奏にたやすくでかけられる。
    12. 描いたり彫刻したりすることのできる美術スタジオ。
    13. ホーム・ルーム通りの末端あたりのどこか、しかし外境内のどこかに裁縫や料理実習用の小さな建物。
    14. 内境内にかなり近い外境内の何処か楽しんで観覧できる所に、水泳プールが設置されている。
    15. このプロジェクトの建設記録を収めた小博物館と進行中の工事や修理作業用の仕事場がある。
    16. バレー・ボールのコートがある。
    17. 何処かにベンチと池のある静かな場所がある。この静かな場所は、芝生を横切ってくる人々の目的地ともなるからである。
    18. 屋外のバスケット・コートがある。
    19. ハンド・ボール・コートかある。
    20. スポーツ系クラブの部室のある建物がある。
    21. 何処かに自然庭園がある。
    22. そして、庭を世話する人々が使用する道具や備品をしまうための庭師の小屋がある。

    6. 主要建築の外部構造

    1. 内境内では、建物や外部空間の配置によって、微妙、かつ間接的な経路ができており、 方向を変更したり、ささやかな塀で遮ることで、ストレートに見えない、よりプライバシーの高い離れの様な場所に導かれるようになっている。
    2. 建物自体もその内なる構造に、これと同じフィーリングを持続するようにしてある。つまり、すべての建物内部について大きい部屋が親しく組み合わさるように、内部が組織されている。そこには、近代的な建築の高校や大学にある型通りの廊下や階段はまったくない。
    3. 高校のホーム・ルーム棟は、教室側に一つ、1階にもう一つと配置される。上の教室からは、直接地面に出られる様な、階段付きの2階建ての建物である。
    4. 職員室は、グループ討論用の部屋が囲む共同部屋が1階に有り、2階には、個人的に研究したり討論することのための部屋が用意されている。
    5. 図書館も2階建てで、大きな静かな読書室が2階にあり、書架、テーブル、個人用読書ブース、美しい家具が備わっている。階下には、開放通路やアーケードが有り、図書館用の予備倉庫もある。
    6. 大講堂は、細長い建物で、600人着席できる長椅子のある中央スペースがある。その周りは、可動間仕切りに仕切られた、少々高くなった部屋があり、その間仕切りを取り去ると、全部で1200人分の聴衆や会合参加者が座ることができる。
    7. ホーム・ルーム教室は、一つ一つが個性的で、39人の生徒用の小さなものである。
    8. ゼミや個性学習用の24の小教室は、3つの異なる大きさの部屋ごとに、はっきり区別がつけられている。
    9. 高校生用のクラブ部室には、2種類あり、スポーツ系クラブ部用に10室、文化系クラブ用に10室である。
    10. 理科実験室棟には、物理室と化学室が有り、準備室が2つと講義室がある。
    11. 音楽スタジオは、木の壁で覆われた2つの音楽室があり、小教室が2つ練習室がある。
    12. 柔道場は、50畳敷の試合場が2つ有り、その周りには、人々が見守れるように縁側やオープン・スペースがある。
    13. 小体育館は、壁にはバーがついており、ダンスや新体操のための設備があり、長い壁鏡がついている。
    14. 事務室棟には、一つの建物の中に、下は事務局、二階に理事室を置く。
    15. 玄関道に向かって、70台から100台の自転車置き場がある。
    16. 倉庫やその他の目的のためにさまざまな小さなスペースがある。
    17. 高校のどこか、多分書道室の外あたりに、生徒の作品が展示できるような展示コーナーかギャラリーを設ける。

    7. 特別な外部詳細

    1. 建物のアプローチの多くは、直接的ではなくて、方向転換を伴い、茂みや庭や垣根などの緑地帯を通り抜けて行くようにしてある。
    2. 内境内では、人の動線に沿って小石の道がある。
    3. 高校キャンパスいたるところにけやきの樹や、種々の樹が有り、通りを囲むほど充分で夏には木陰を提供する。
    4. どこかに年輪を経た鯉が泳ぐ池がある。
    5. どこかの庭に、外庭、中庭付きの、伝統的な茶室がある。
    6. どこかに、地図にも乗っていない秘密の園をつくる。
    7. 春になるとよく見える所に桜の木を植える。

    8. 建物の内装の特徴

    1. 内装の調子は暖かく控えめである。木の柱、床、壁が各所に有り、白障子白天井の横には、淡い黄色の紙や絹の布に似た淡黄色の壁がある。
    2. 建物の床は、通常のものより少し高く持ち上げられている。
    3. 教室の床の多くは木で、靴は教室でぬぐ。
    4. 教室の多くは、一方に縁側が有り、そこから入ってくる光は、格子窓を通して差し込んでくる。
    5. 各所の壁や表面は自然のままで、加工されていない木でできている。
    6. 大きい建物には、学生が自分達を見ることができる鏡が置かれている。
    7. 建物の外には、花壇がいたるところにある。
    8. 高校キャンパス内の屋内いたるところに他の地味な色を背後に素晴らしい柔らかな色のハイライトを配する。淡い青色を背景に描かれた人物像とか・・・あるところでは、そういう青を背景にした黄色のアイリスというように。

    注記

     当初、全校400名という小規模な地方自治を学ぶ専科大学を設立する予定だった。妨害活動によって、資金的にもそれは不可能になったため、元のパタン・ランゲージにあった大学に関する部分は削除した。また、大学のパタン・ランゲージもあるが、それは掲載していない。
     田の字センターという用語が出て来るが、これは後に、多目的ホールが建設されることになったので元の意味は失われている。
     このパタン・ランゲージにあって実際に出来ていないものの一つは、秘密の花園である。場所としては武道場付近を考えていたが、小規模なものなので、今からでも作るのは可能だと思う。アイデアとしては、生け垣、植え込みを二重にして、その先に小さな庭を作るということだ。外からは、その生け垣で行きどまりになっているように見えるので、その先に庭があるとは気が付かないという錯覚を利用している。場所さえ選べば、生徒でもできるであろう。
     鏡は、この年代の生徒にとって必要不可欠なものと考えていた。立ち止まって、ちょっと見るという使い方がされるものと思う。これも、設置場所を考えて、今からでも用意できるだろう。
     全体に関することでは、軒先を深くするというアイデアは具体化されていない。そのため、6月の梅雨時に必要な窓の霧除けがない。一般に建築家は、デザインとして深い軒先を好まないところがあるが、アレグザンダーもそうだった。実用的には、雨が吹き込まず自然の風通しを得るには、霧除けは非常に有効だと思っている。
     図書館の記述は、大学図書館を想定している。大学棟を一つだけ建てたのは、増えた高校生を収容するためだった。実際にはその中に、図書室のスペースを取っている。

 

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